やわらかく 穏やかに 重なる・・・

心 思い ・・・彩・・・

"彩"という字が好きなのは・・・

淡い色が重なり合って それぞれが いかし合いつつ

さらに素敵な 深みのある色を織りなしていく・・・

そんなイメージを感じるからかもしれません

 

たとえば、様々な楽器の奏でる音が作り出す荘厳なオーケストラの響き

たとえば、うたごえだけを重ねるアカペラのハーモニー

たとえば、光と水が生みだす 海の中の静寂なきらめき

たとえば、夜と朝が重なる瞬間の 何とも言えない空の色・・・

 

そこにある存在をいかしながら、別のなにかが重なることで

はじめて見えてくる 深みのある美しい世界・・・

他 をいかすことで 自分の中の なにかが輝く

 

それがたとえ小さなかすかな重なりでも

そのときだけの 確かな変化に

いつも 感動があるのです

 

絵の具を、水でのばしてウオッシュを作ったとき、

強い(濃い)色では決して見えなかった 本当の色の明るさ、美しさが見える気がします。

 

自分の過去 忘れたい悲しいことや、失敗、挫折・・・

いろいろあるかもしれないけれど、

水でのばしてウオッシュの色を作るように、時の力を借りて 少しやわらかくなったら、

そしてそこに、だからこそ感じた 人の優しさや、強さや、いろいろを(笑♪)重ねてみたら、

そのときにしか表せない、穏やかな優しい"自分色"が生み出せるかもしれない。

 

いっぱい泣いてもいいけど、なかったことにしようとしたり、あきらめたりせずに、

その場所から、周りをゆっくり眺めて、焦らずに、今できることを探してみよう。

そんなときだからこそ、見えるものがきっとある。

すべて順調に、すんなりと生きてきたら見えなかったはずの大切なものが・・・。

 

トールに出会ってから、特に、ウオッシュの描き方が 大好きになってから、

私は、そんなふうに思うようになりました。

 

アトリエ彩 押見素子